スポンジ作りはいつも真剣勝負
「ケーキ」という言葉を聞いて、真っ先にショートケーキを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
当研究所でも、一番ご注文数が多いのがショートケーキ。それだけに、このケーキに使うスポンジ生地に対しては特別な思いがあります。
ケーキ業界では「ジェノワーズ」と呼ばれるこの生地、配合はとってもシンプルなのですが、実は一番気をつかう、難しいと感じる生地なのです。
材料は、卵、きび砂糖、小麦粉、牛乳、バターの5つです。
まずは卵にきび砂糖を加えて、湯煎で温めながら混ぜ合わせます。
卵の温度は、気泡の状態に大きく影響します。気泡をいかにベストな状態にするかが、スポンジ作りの大きなポイントになります。
季節や卵の種類などによって最適な温度に違いがあり、様々な条件を考慮しながらも、最後は勘と経験が頼りです。
今回は真冬に仕込んだので、温度が下がりすぎないよう、時々外側からバーナーでボールを温めながら泡立てていきます。
だんだん泡立ってきました。
泡立ちがピークになったところでミキサーを止めます。ホイッパーの跡や泡立ちの音など、全神経を集中させてその状態を見極めます。
ひとまず一定量取って比重を測り、泡立ちの状態を数値でチェックします。
この比重によって、粉の混ぜ合わせ具合を微調整します。
振るっておいた粉をそっと流し入れます。
粉が気泡をしっかりと包み込んでいくところをイメージしながら混ぜ合わせます。混ぜ方が足りなくても、混ぜすぎてもNGです。
全集中!で混ぜ具合を見極め、ちょうどよいところで止めます。
油脂分は気泡を消してしまう特性があるので、加えるのは最後の工程です。
バターと牛乳を合わせておいたものを湯煎して温めて・・・
生地を少し取って、よく混ぜ合わせます。
これを生地に戻します。
油脂分を混ぜる時は、そーっとそーっと、優しく混ぜます。製菓学校では「赤ちゃんを扱うような気持ちで合わせる」と教わりました。
手数は最小限(5~6回)で混ざりきるようにします。
型に生地を流し込んでいきます。気泡を潰さないよう、ここでも手数は最小限に・・・。
型に収まりました。
オーブンで焼いていきます。オーブンの熱風が側面に直接あたらないよう、一回り大きいセルクルを置きます。
ちゃんと膨らむか、膨らみすぎないか、何度やってもドキドキですね(^_^;)
無事、焼き上がりました!ここでやっと一安心です。